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【税務の基礎知識(国際税務)】過少資本税制

【税務の基礎知識(国際税務)】過少資本税制

2019/05/08

【過少資本税制】

・過少資本税制とは

過小資本税制とは、日本の内国法人が国外支配株主等(海外の親会社など)から資金の提供を受ける場合に、過大な借入を行うことで過大な支払利息を損金算入し、所得を減少させる租税回避行為を防止するための制度のことです。

資金提供の方法としては、一般に出資か借入が考えられますが、出資の場合には、資金提供先への対価の支払いは支払配当となるため、その対価が損金算入されることはありません。他方、借入の場合には、資金提供先への対価の支払いは支払利息となるため、その対価は損金算入されます。

従って、資金提供方法として借入を選択し、その借入額を過大な額にすれば、対価となる支払利息の額は当然に多額になり、その分だけ課税所得を圧縮することができます

このような資金調達の対価の税務上の取扱いの差異を考慮し、多額の支払利息を損金算入する方法を用いた国際的な租税回避行為が行われることを防止するために、日本では過小資本税制という制度が設けられています。

なお、諸外国でも同様の税制が設けられている国は多いため(例えば、アメリカでは日本の過小資本税制と似たような「アーニングス・ストリッピング・ルール」があり、昨今の大幅な税制改正(いわゆるトランプ減税)によって新たな控除制限が課されています。)、日本の親法人が海外子会社に資金提供を行う場合でも、現地国で規制がかかる可能性がありますので留意が必要です。

 

・対象となる国外支配株主等とは

過少資本税制の対象となる国外支配株主等とは、日本の内国法人の発行済株式の50%超を保有している外国法人等(持株基準)や日本の内国法人を実質的に支配している外国法人等(実質基準)などが該当します。

なお、実質基準の具体例としては、内国法人がその事業活動の相当部分を当該外国法人等との取引に依存していることや、その事業活動に必要とされる資金の相当部分を当該外国法人等からの借入又は当該外国法人等からの保証を受けて調達していることなどがあります。

 

・過少資本税制の適用

次のいずれもが3倍を超える場合には、原則として、「国外支配株主等に対する平均負債残高のうち、国外支配株主等の資本持分の3倍を超える部分の金額に対する支払利子等(債務の保証料や債券の使用料等も含む)」については損金不算入となります。

 

①国外支配株主等の内国法人に対する資本持分のうちに、その国外支配株主等に対する平均負債残高が占める割合

②自己資本のうちに、その内国法人の総利付負債の平均負債残高が占める割合

 

つまり、法人全体、及び、国外支配株式等のデッドエクイティレシオがともに300%を超える場合に過小資本税制の適用があるということです。

 

・過大支払利子税制との関係

支払利息の損金算入を用いた租税回避行為を制限する規定としては、過大支払利子税制(他に所得金額に比して関連者に対する利子が過大である場合に適用される税制)がありますが、過小資本税制と過大支払利子税制の双方の損金不算入額がある場合には、いずれか多い金額が損金不算入とされます

 

(ポイント)

・過小資本税制とは、日本の内国法人が国外支配株主等(海外の親会社など)から資金の提供を受ける場合に、過大な借入を行うことで過大な支払利息を損金算入し、所得を減少させる租税回避行為を防止するための制度である。

・法人全体、及び、国外支配株式等のデッドエクイティレシオがともに300%を超える場合に過小資本税制の適用がある。

 

(留意点)

諸外国でも日本の過小資本税制と同様の税制が設けられている国は多いため、日本の親法人が海外子会社に資金提供を行う場合には、現地国で規制がかかる可能性があるため留意が必要である。

 

 

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