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【税務の基礎知識(国際税務)】国外関連者寄附

【税務の基礎知識(国際税務)】国外関連者寄附

2019/05/07

【国外関連者寄附】

・国外関連者寄附とは

国外関連者寄附とは文字通り国外関連者に対する寄附のこととをいい、日本の法人税法上、その寄附金については、全額損金不算入となり、永久に損金算入をすることができません

通常の寄附金については、損金算入限度額以内であれば損金算入することができますが、国外関連者への寄附金の場合は全額損金不算入となります。

 

・国外関連者とは

国外関連者とは、外国法人のうち以下のような法人が該当します。

①に発行済株式総数の50%以上を直接又は間接に保有されている

②一方の法人の役員が他方の法人の役員の半数以上を兼任しているなど実質的な支配関係がある

 

・国外関連者寄附の具体例

①海外子会社への業務支援を行っている場合の人件費

日本の親法人の社員が海外子会社の新規事業の立ち上げ時の支援などを行う場合には、当該社員の人件費相当額は本来海外子会社が負担すべきものであるため、この人件費相当額を海外子会社に請求していない場合や請求しているものの適正額より請求額が少ない場合などは、本来請求すべき金額分だけ海外子会社に寄附したものとして、国外関連者寄附にあたるとされる場合があります。

この点、日本の親法人の社員が海外子会社の株主総会に参加するために現地を訪れる場合などは、親会社が本来行うべき海外子会社の管理業務のための出張であり、当該人件費は日本の親会社が負担すべきものであることから、国外関連者寄附には該当しません。

 

②海外子会社が製造した製品を日本の親法人が仕入れる場合の仕入価額

海外子会社が製造した製品を日本の親法人が仕入れる場合の仕入価額が、他の第三者に販売する際の価額に比して高額であるような場合には、第三者への販売価額と日本の親会社への販売価額との差額は、日本の親法人から海外子会社への寄附金であるとして、国外関連者寄附にあたるとされる場合があります。

 

・移転価格税制との関係

国外関連者との取引は移転価格税制の適用対象となります。

つまり、国外関連者寄附を指摘されるような取引は、基本的には国外関連者寄附の規定と移転価格税制の両方の対象となります。

国外関連者寄附は日本法人において損金不算入処理をして完結しますが、移転価格税制であれば、現地国との協議により現地国での税額を取り戻すことも可能です。

このような違いから、国外関連者寄附の指摘を受けた際に、移転価格税制の方に切り替えて争うことを勧める人もいますが、実務上は移転価格税制の調査が長期間に及ぶことや移転価格税制に対応する資料の整備が適正になされていないこと、及び、現地国との協議には多大な時間と費用を要することなどから、国外関連者寄附として処理してしまうことが多いように思われます。

 

・海外子会社を有する法人の税務調査のポイント

海外子会社を有する法人の税務調査で必ずと言っていいほど調査されるのが「国外関連者寄附の有無」です

なぜなら、国外関連者寄附は法人税法上全額損金不算入となり、永久に損金算入をすることができないからです。

そして、その中でも「海外子会社への業務支援を行っている場合の人件費」は金額の算定が簡易であり、かつ、寄附金該当性の判定が容易なため、高い確率で調査されます。

具体的には出張報告書などを閲覧したり、海外出張旅費を抽出するなどして、海外子会社へ出張を洗い出します。そしてその内容を確認し、本来海外子会社が負担すべきものを日本の親会社が負担している場合には国外関連者寄附であるとの指摘をしてくることになります。

この場合の国外関連者寄附の金額は対象者の対象期間中の人件費(給与・賞与だけでなく、社会保険料の会社負担額や退職給付引当金繰入額なども含む)のうち、海外子会社の業務を行っていた期間分となることが多いです。

中小企業では概ね海外出張に行く方は役職の高い方が多いので、その人件費相当額も多額になることが多いため、追徴額も多額になることがあります。

海外子会社を有する法人については、本来海外子会社が負担すべき費用のうち日本の親会社が負担しているものがないかを把握し、もしあれば正しい処理に是正していく必要があります。

 

(ポイント)

・国外関連者寄附は日本の法人税法上全額損金不算入となり、永久に損金算入をすることができない。

 

(留意点)

海外子会社を有する法人の税務調査では国外関連者寄附の有無が論点になることが多い。

 

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