【税務の基礎知識(国際税務)】外国子会社配当の益金不算入制度
2019/04/25
【外国子会社配当の益金不算入制度】
・外国子会社配当の益金不算入制度とは
外国子会社配当の益金不算入制度とは、日本法人が一定の海外子会社から受け取る配当(源泉税控除前)については、その配当の95%が所得計算上益金に算入しない制度です。
つまり、日本での課税は受け取った配当の5%部分のみとなります。
・対象となる外国子会社の範囲
本税制の対象となる外国子会社は以下のいずれも満たす外国法人です。
①日本法人により、発行済株式等の25%以上(*1,*2)を保有されていること
②その保有期間が配当の支払義務が確定する日以前6カ月以上継続していること
(*1)租税条約によって25%未満の割合が定められている場合は、その軽減された割合を用いて判定を行う
(*2)連結納税制度を適用している法人については連結納税グループ全体の保有割合を用いて判定を行うが、その場合には租税条約によって軽減された割合を用いることはできない
・外国子会社配当に係る源泉税の取扱い
外国子会社配当の益金不算入制度を適用する場合には、当該配当の受け取りにより現地国で源泉徴収された源泉税は外国税額控除の対象外となり、損金算入することもできません。
・現地国で損金算入される配当の取扱い
上記の要件を満たしている場合であっても、当該外国子会社の居住国において、支払配当の全部または一部が損金算入される場合には、損金算入された配当は日本法人において、外国子会社の益金不算入制度の適用を受けることができません。
なお、この場合には外国子会社の益金不算入制度を適用してないことから、当然に現地国で源泉徴収された源泉税は外国税額控除の対象となり、損金算入することもできます。
支払配当金が損金算入される国は多くはありませんが、例えばブラジルは一定の条件を満たす場合には支払配当の損金算入が認められていますので留意が必要です。
(ポイント)
・外国子会社配当の益金不算入制度とは、日本法人が一定の海外子会社から受け取る配当(源泉税控除前)については、その配当の95%が所得計算上益金に算入しない制度である。
(留意点)
・外国子会社配当の益金不算入制度を適用する場合には、当該配当の受け取りにより現地国で源泉徴収された源泉税は外国税額控除の対象外となり、損金算入することもできない。
・対象となる外国子会社の要件を満たしている場合であっても、当該外国子会社の居住国において、支払配当の全部または一部が損金算入される場合には、損金算入された配当は日本法人において、外国子会社の益金不算入制度の適用を受けることはできない。