【税務の基礎知識(消費税)】簡易課税制度(簡易課税制度の届出)
2018/12/20
【簡易課税制度(簡易課税制度の届出)】
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には、その課税期間について簡易的な消費税の計算方法(簡易課税制度)を適用することができます。
ただし、この制度の適用を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です
なお、簡易課税制度を選択した場合は、事業を廃止した場合等を除き、2年間継続した後でなければ簡易課税制度の選択をやめることはできませんので、届出の提出前に2年間トータルでの影響を検討する必要があります。
また、以下の場合には一定の期間「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出ができなくなりますのでこの点にも留意が必要です。
・「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となっている場合
課税事業者を選択することにより課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中はこの届出書を提出することはできません。
(注)多くの場合3期後にはこの届出を提出することができますが、設立初年度の事業年度が1年に満たない法人が、その年度に「消費税課税事業者選択届出書」を提出する場合には、上記2年を経過する日が3期後の課税期間となるため、当届出の提出可能時期が4期後になる場合があるため留意が必要です。
・新設法人に該当する場合で調整対象固定資産(※1)の仕入れ等を行った場合
新設法人(基準期間のない法人)が基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合は、その仕入れ等の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければこの届出書を提出することはできません。
(注)多くの場合、調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った日の属する課税期間から4期後にはこの届出を提出することができますが、設立初年度の事業年度が1年に満たない法人が、その年度に調整対象固定資産の課税仕入れ等行う場合には、上記3年を経過する日が4期後の課税期間となるため、当届出の提出可能時期が5期後になる場合があるため留意が必要です。
(※1)「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた金額)が100万円以上のものをいいます。
・課税事業者が、高額特定資産の仕入れ等を行った場合
課税事業者が、高額特定資産(※2)の仕入れ等を行った場合には、その仕入れ等の日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければこの届出書を提出することはできません。
また、高額特定資産が自己建設高額特定資産(※3)に該当する場合には、当該自己建設高額特定資産の建設等に要した仕入れ等の対価の額(事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間中において行った原材料費及び経費に係るものに限り、消費税相当額を除きます。)の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間の初日から、当該自己建設高額特定資産の建設等が完了した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければこの届出書を提出することはできません。
(※2)「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
(※3)「自己建設高額特定資産」とは、他の者との契約に基づき、又はその事業者の棚卸資産若しくは調整対象固定資産として、自ら建設等をした高額特定資産をいいます。
(ポイント)
・簡易課税制度を選択した場合は、事業を廃止した場合等を除き、2年間継続した後でなければ簡易課税制度の選択をやめることはできないため、届出の提出前に2年間トータルでの影響を検討する必要がある。
・一定の場合には「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出ができなくなる期間が発生するが、特に1年未満の課税期間内に一定の事由が発生する場合には、提出不可期間が1期伸びてしまう可能性があるため留意が必要である。