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【節税】生命保険のタックススケジューリング

【節税】生命保険のタックススケジューリング

2018/10/10

【生命保険のタックススケジューリング】

法人経営に伴う将来の不確実性に対応するため、法人契約で生命保険に加入することはよくあることだと思いますが、一定の契約の場合、保険料支払時に法人の所得計算上損金にすることができ、結果的にその分だけ法人の所得を圧縮することができます。

但し、保険事故発生による保険金収入がある場合や保険期間内での解約に伴う解約返戻金収入がある場合には当然に法人の所得計算上益金になるため、結果としてその分だけ法人の所得が一時的に著しく増加することになります。

つまり、支払保険料が損金となる生命保険に加入する場合、支払時にはその分だけ所得が圧縮できますが、保険金収入がある事業年度で過去損金となった金額が益金算入され所得が増加するため、保険期間トータルで見れば所得に対する影響はトントンになりますので結果として課税の繰り延べにしかなりません。

但し、保険金収入は一時的に多額に発生するものであるため、当然に一時的に納税額も多額になります。事業経営においては資金繰り等の関係上、生命保険を解約せざるを得ない場合もあると思いますので、しっかりとしたスケジューリングを行い法人経営に支障をきたさないようにすることが重要です。

一時的に多額の資金が必要となる役員退職金の支払い時期やマンション経営における大規模修繕の時期に保険金収入を得て資金を確保するケースがあります。

 

(ケース)

保険金収入を役員退職金に充てるケースでの税務影響

・生命保険掛け金:年額3,000,000円(年間損金算入額1,500,000円)

・生命保険掛け金拠出期間:10年

・保険金収入:30,000,000円(益金算入額15,000,000円)

・役員退職金:15,000,000円

・役員勤続期間:30年

・法人税実効税率:38%

1.生命保険掛け金損金算入による法人税影響額:△5,700,000円(△1,500,000円×10年×38%)
2.保険金収入の益金算入による法人税影響額:0円(15,000,000円-役員退職金15,000,000円)
3.役員退職金にかかる所得税額:0円(役員退職金15,000,000円-退職所得控除額15,000,000円)

 

保険金収入を大規模修繕費に充てるケースでの税務影響

・生命保険掛け金:年額3,000,000円(年間損金算入額1,500,000円)

・生命保険掛け金拠出期間:10年

・保険金収入:30,000,000円(益金算入額15,000,000円)

・大規模修繕費:15,000,000円

1.生命保険掛け金損金算入による法人税影響額:△5,700,000円(△1,500,000円×10年×38%)
2.保険金収入の益金算入による法人税影響額:0円(15,000,000円-大規模修繕費15,000,000円)

 

税負担の軽減を主目的としたタックススケジューリングは租税回避行為として税務署から指摘を受ける可能性がありますが、事業経営の中で経済合理性がある取引を行う場合に複数の取りえる選択肢がある中で、課税関係を整理した上で、最も税負担が少ない選択肢を採用することは節税ではなく、経営者として当然の事業上の意思決定だといえます。税金というのは事業経営を行う中で様々なフェーズで関係してくるものですので、将来の動向を踏まえた税務アドバイスができる税理士に仕事を依頼することをお勧めします。

 

(ポイント)

・こんな法人は要検討

法人契約の生命保険に加入しており掛け金が所得計算上損金算入している法人

大規模修繕等の将来の一定時期に多額支出が必要となる法人

役員退職金規定があり将来の一定時期に多額支出が必要となる法人

 

(留意点)

・税負担の軽減を主目的としたスケジューリングは租税回避行為として税務署から指摘を受ける可能性がある。

 

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