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【税務の基礎知識(国際税務)】間違いやすい租税条約の解釈(プリザベーションクローズ)

【税務の基礎知識(国際税務)】間違いやすい租税条約の解釈(プリザベーションクローズ)

2022/10/24

【間違いやすい租税条約の解釈(プリザベーションクローズ)】

色々とややこしい租税条約ですが、日本におけるプリザベーションクローズの解釈は専門家でも盲点になりやすいものですので注意が必要です。

 

●プリザベーションクローズとは

プリザベーションクローズとは一般的には「租税条約で国内法以上の課税ができない原則」と言われています。
つまり、租税条約は課税を減免する方向にしか機能しないという原則がプリザベーションクローズです。

例えば、日米租税条約には以下のようなプリザベーションクローズ条項が設けられています。

~~~~日米租税条約1条2項~~~~

この条約の規定は、次のものによって現在又は将来認められる非課税、免税、所得控除、税額控除その他の租税の減免をいかなる態様においても制限するものと解してはならない。

(a) 一方の締約国が課する租税の額を決定するに当たって適用される当該一方の締約国の法令

(b) 両締約国間の他の二国間協定又は両締約国が当事国となっている多数国間協定

 

●日本でのプリザベーションクローズの解釈

上記の通り、プリザベーションクローズを前提とすれば、租税条約は課税を減免する方向にしか機能しないため租税条約を確認せずとも日本での課税漏れは起きないと思われるかもしれませんが(そもそも租税条約非適用の場合、外国税額控除非適用になるため租税条約を確認すべきというのは前提としてありますが)、日本においては以下の通り「租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得の置換え規定」があることから注意が必要になります。

 

●租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得の置換え規定

日本では国内法において一定の所得について「租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得の置換え規定」(所得税法162条、法人税法139条)が設けられています。

当規定により、国内法で免税となっていても、租税条約で課税となっている場合には、国内法における免税の取扱いが租税条約により課税に修正されることから、国内法と租税条約が一致する結果となります。

つまり、租税条約で国内法以上の課税ができないプリザベーションクローズは守られているものの、そもそもの国内法の課税が租税条約により修正される結果なりますので、実質的には日本にはプリザベーションクローズは存在しないと言われています。

 

(留意点)

・実質的には日本にはプリザベーションクローズは存在しないと言われている。

 

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