【コラム】通帳データ化の精度を向上させる方法
2020/08/28
【通帳データ化の精度を向上させる方法】
税理士の記帳代行で必ず出てくるのが通帳の記帳だと思います。
最近の会計システムではネットバンクの自動連携ができるものが多いため、ネットバンクを利用されているお客様の場合、会計システムに通帳を手入力する必要はありません。
自動連携が難しくても(自動連携の場合、定期的に承認作業などが必要なため、記帳代行では自動連携が煩雑な場合もあると思います。)、ネットバンクからcsvでデータを出力し会計システムに読みこませることで会計システムへの通帳の手入力作業を省略することができます。
ただし、法人のネットバンク契約は契約料としてある程度の料金がかかることが多いため、法人のお客様の場合だとまだまだ紙の通帳のコピーを入手して会計システムに手入力されている会計事務所も多いと思います。
最近ではOCRの精度が向上してはいるものの、まだまだ一般的なスキャナでは対応が難しいことが多い印象です。
通帳のデータ化サービスを提供している会社も多くあるので、紙の通帳のデータ化を外注する方もいらっしゃると思いますが、やはりコストがかかるのでそこがネックになっている方もいると思います。
そこで今回は弊社が実際に行っている一般的なスキャナを利用した通帳データ化の精度を向上させる方法をご紹介します!
まずは使用しているスキャナですが、KodakさんのS2070(Alaris)です。
↓こんな製品です。
ごくごく一般的なスキャナだと思います。
弊社は領収証をデータ化してクラウド会計システムに取り込むために購入しました。
このスキャナでは取り込んだデータをエクセル形式に変換も可能ですので、このスキャナを使用して紙の通帳をデータ化することができます。
ただし、何もせずに単純に取り込むとやはり読み込み制度が低くある程度加工しなければ使用できません。
これでは会計システムに直接入力するのとさほど時間が変わらず作業効率化にならないため結果的には使えないという結論に達していました。。
色々と試行錯誤した結果、以下2点を行うことで劇的にデータ化の精度が向上することを発見しました。
【1】紙の通帳の列(日付、摘要、入出金欄)を区分する罫線をポールペンでなぞる!
【2】紙をスキャナにセットする際に用紙ガイドをしっかりと用紙の端に合わせる!
1が特に重要です。
通帳の列は文字が近接している場合があり、その場合にはスキャナ取り込み時に結合されることがありますが、結合されると結合を解除する加工が必要になりますし、文字の識別がおかしくなることが多いです。
スキャナが列を的確に区分して把握できるように列の罫線をポールペンで強調するとこの不都合がほぼ解消できます。
2はスキャナ取り込み時のブレをなくすためにしてください。
ブレがあるとスキャナの読み取り精度が下がりますので、取り込み時に資料が横に動かないように用紙ガイドでしっかりと固定しましょう。
通帳は高度な個人情報のため、実際に読み込んだデータはここでお見せすることはできませんが、上記2点に気を付けるだけで劇的に読み込み制度は上がります!
弊社の経験では日付と金額はほぼ正確に読み取ります。
摘要欄は読み取り精度はさほど高くないので加工が必要ですが、それほど時間はかからない感じでしょうか。
※弊社が使用しているスキャナでは摘要欄の漢字はかなり正確に読み取りますが、アルファベットとカタカナは読み取り精度が低いので加工をしています。
また、紙の通帳は金額の前に「*」がついていることが殆どなので、この「*」を取り除く必要がありますが、エクセルの関数(SUBSTITUTE関数)か置換機能で一括処理してしまえばすぐに取り除けます。
弊社の紙通帳のデータ化フローをまとめるとこんな感じになります。
①紙通帳の列の罫線を黒のボールペンでなぞる。
↓
②紙通帳をスキャナにセットし用紙ガイドを用紙の端に合わせしっかりと固定する。
↓
③出力したデータの金額欄の前に付されている「*」を関数(SUBSTITUTE関数)か置換機能で一括削除する。
↓
④摘要欄の記載で文字化けしているものを修正する。
↓
⑤念のため入出金額を集計した合計額と紙通帳の合計額の一致を確認する。
上記フローで作成したデータをクラウド会計システムに取り込みます。
当然データ化しても若干の加工は必要なので多少工数はかかりますが、紙通帳から直接手入力するよりも断然効率的だと実感しています。
時間が本当にない方の場合はコストを掛けても通帳データ化サービスを利用する方がいいとは思いますが、さほど時間を掛けずにタイムリーな処理が出来るのでこの方法はおススメです!
是非一度試してみてください!