【税務の基礎知識(グループ法人税制)】グループ法人税制の概要
2019/05/14
【グループ法人税制の概要】
・グループ法人税制とは
グループ法人税制とは、100%の資本関係にある内国法人間で行なわれる一定の資産譲渡、寄附、配当、株式の発行法人への譲渡等について、当該譲渡等から発生する損益を税務上認識しない仕組みです。
これは企業グループが1部署を法人化することなどが一般的になってきた状況を鑑みて、企業グループの実態に合わせた税制の整備を行うために2010年の税制改正において導入されたものです。
・グループ法人税制の適用対象
グループ法人税制が適用される取引は完全支配関係(100%資本関係)がある法人間の取引のうち一定のものです。
100%資本関係は直接的な資本関係のみならず、間接的な100%資本関係(親会社と100%孫会社との関係など)も含まれます。
なお、一定の従業員持株会などがある場合、その株式保有比率が5%未満である場合には、完全支配関係の判定においてそれらを除外することができます。
・完全支配関係(100%資本関係)の判定日
完全支配関係を有することとなった日は、当該株式の取得に係る契約が成立した日ではなく、当該株式の株主権が行使できる状態になった日とされています。
具体的には以下の日が完全支配関係を有することになった日になります。
①株式の取得・・・株式の引渡しがあった日
②新法人の設立・・・新法人の設立日
③吸収合併・・・合併の効力が生ずる日
④吸収分割・・・分割の効力が生ずる日
⑤株式交換・・・株式交換の効力が生ずる日
・グループ法人税制の適用される取引
具体的には以下の取引についてグループ法人税制が適用され、当該取引から生じる損益については税務上損益として認識しないことになります。
①100%グループ法人間の資産の譲渡取引等
②100%グループ法人間の寄附(法人による100%資本関係に限定される)
③100%グループ法人間の資本関連取引
・100%グループ法人間の現物分配
・100%グループ内の法人からの受取配当金
・100%グループ内の法人の株式の発行法人への譲渡
④法人税法上の中小企業特例措置の不適用
(ポイント)
・グループ法人税制とは、100%の資本関係にある内国法人間で行なわれる一定の資産譲渡、寄附、配当、株式の発行法人への譲渡等について、当該譲渡等から発生する損益を税務上認識しない仕組みである。
・完全支配関係を有することとなった日とは、当該株式の株主権が行使できる状態になった日とされている。