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【税務の基礎知識(国際税務)】租税条約の位置づけ

【税務の基礎知識(国際税務)】租税条約の位置づけ

2019/04/24

【租税条約の位置づけ】

・一般的な租税条約と国内法の関係

租税条約は国内法に優先されるというのが一般的な理解です。

つまり、国内法で定めがある規定について、租税条約で特別な取扱いが規定されている場合には、租税条約の規定が優先され適用されるということです。

租税条約に抵触するような規定を国内法で制定したとしても、租税条約の規定が優先されるため、租税条約の範囲において国内法の規定の適用がなされなくなることになります。

 

・アメリカにおける租税条約と国内法の関係

上記の通り、租税条約は国内法に優先されるという考えが日本を含めた多くの国での一般的な理解ではありますが、アメリカにおいては、租税条約と国内法は同等との理解がなされています。

従って、国内法と租税条約で異なった取扱いを定めている場合には、後に定められた規定が優先されることになり、国内法の規定が後に定められる場合には、租税条約よりも国内法が優先されることはありえます。

このような特殊な考え方を採用しているため、日米租税条約では租税条約に抵触するような国内法改正がある場合には、日米両国間で協議をすることが定められています。

 

・プリザベーションクローズ

プリザベーションクローズとは、国内法の税負担以上の課税を租税条約によって行うことはできないという、租税条約の一般的考え方です。

つまり、租税条約は税負担を軽減する方向にしか働かないということであり、租税条約は納税者にとって有利な場合のみ優先されることになります。

※日本では国内法にて一定の所得についてプリザベーションクローズの適用を放棄しているため(租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得の置き換え規定)、結果としてプリザベーションクローズは日本には存在しないと言われています。

 

・租税条約による税制優遇の具体例

アメリカにおいて、アメリカ法人が外国法人に対して配当を支払う場合には、アメリカ国内法により30%の源泉徴収の必要があります。

しかし、日米租税条約により、アメリカ法人が日本法人に対して支払う配当については、持株割合が50%超のアメリカ法人からの配当については免税となり、持株割合が10%以上50%以下の場合には5%、その他については10%となります

この点、当該配当金は日本法人の日本での申告において、受取配当金として所得計算上益金に算入され、支払ったアメリカ源泉税については外国税額控除の適用により税額から控除されることから、結果として日米租税条約の適用がなくても影響はないことになりますが(外国税額控除により全額の控除を受けられる場合)、仮に当該配当について外国子会社配当の益金不算入制度を適用する場合には、支払ったアメリカ源泉税については外国税額控除の対象とならないため(損金算入も不可)、日米租税条約の適用があるかないかで総額の税負担は大きく変わることになります

 

(ポイント)

・租税条約は国内法に優先されるというのが一般的な理解である。

 

(留意点)

アメリカにおいては、租税条約と国内法は同等との理解がなされている。

 

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