【税務の基礎知識(外形標準課税)】付加価値割(雇用安定控除)
2019/04/03
【付加価値割(雇用安定控除)】
・雇用安定控除とは
雇用安定控除とは報酬給与額が収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)の70%相当額を超える場合に、その超過額(報酬給与額-収益配分額×70%)を付加価値割の課税標準額から控除するものです。
これは、報酬給与額、つまり給与等を安定して支給している法人に対しては、政策上税制面で優遇する制度です。
つまり、外形標準課税の対象法人は雇用や給与水準を維持、又は、上げることにより税負担が軽減される仕組みになっています。
・雇用安定控除の計算例
雇用安定控除の計算例は以下の通りです。
上記のA社とB社は報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料及び単年度損益の合計額は同じです。
ただし、報酬給与額がA社の方が200,000,000円多い、つまり人件費が高い分だけ、単年度損益が200,000,000円少なくなっています。
つまり、A社はB社と同規模であるものの、B社より給与水準が高いため、その分だけ利益が少なくなっているということです。
この結果、A社とB社は報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料及び単年度損益の合計額は同じにも関わらず、外形標準課税の付加価値割の課税標準である付加価値額は60,000,000円も違いが発生することになります。
・所得拡大促進税制
上記の通り、外形標準課税では、雇用安定控除により雇用や給与水準を上げることにより税負担が軽減される仕組みになっていますが、賃上げによる税負担の軽減政策はこれだけではありません。
法人税で適用がある所得拡大促進税制が外形標準課税にも適用されていますので、一定程度の賃上げをしている法人については、より税負担が軽減される仕組みになっています。
(ポイント)
・雇用安定控除とは報酬給与額が収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)の70%相当額を超える場合に、その超過額(報酬給与額-収益配分額×70%)を付加価値割の課税標準額から控除するものである。
・法人税で適用がある所得拡大促進税制が外形標準課税にも適用されているため、一定程度の賃上げをしている法人については、より税負担が軽減される仕組みになっている。