【税務の基礎知識(外形標準課税)】外形標準課税の概要
2019/04/01
【外形標準課税の概要】
・外形標準課税とは
外形標準課税とは平成15年税制改正により法人事業税の一部として導入された税制です。
法人事業税は法人が稼得した「所得」に対して課されるものですが、外形標準課税の適用法人になれば、「所得」に加えて「付加価値割」と「資本割」という2つの項目に対しても課税がなされることになります。
・「付加価値割」と「資本割」とは
①「付加価値割」
付加価値割とは、報酬給与額(※1)+純支払利子(※2)+純支払賃借料(※3)+単年度損益に対して課されるものです。
(※1)給与、賞与、退職金など (※2)借入金利息など (※3)支払地代家賃など
②「資本割」
資本割とは、資本金等の額(※4)に対して課されるものです。
(※4)会計上の資本金ではありません
つまり、法人が稼得した「所得」だけではなく、法人の規模に対して課税がなされるようなイメージです。
・単年度損益と欠損金繰越控除との関係
外形標準課税の計算における単年度損益の算定においては、原則として欠損金の繰越控除は認められていません。
従って、単年度損益は原則として繰越欠損金控除前の所得となります。
・外形標準課税の対象法人
外形標準課税の対象法人は、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人です。
ただし、公益法人等の特殊法人は除かれます。
・対象法人の基準となる資本金の額
外形標準課税の対象法人の判定基準である、資本金の額は、会計上の資本金の額です。
従って、税務上の資本金等の額が1億円を超えていても、会計上の資本金の額が1億円以下であれば、外形標準課税の適用はありません。
・資本金の額の判定時期
外形標準課税の対象となるかの判定は、各事業年度終了の日の現況によって判定することとされています。
従って、期中の資本金の額が1億円以下であっても、期末近くに増資を行い、期末時点での資本金が1億円を超える場合には、外形標準課税の対象法人となります。
・外国法人の場合の判定
外国法人であっても、内国法人と同様に、期末時点の資本金の額が1億円を超えている場合には外形標準課税の対象法人となります。
この場合の資本金の額は期末時点のTTM(電信売買相場の仲値)で円換算したもので判定します。
(ポイント)
・外形標準課税の対象法人は、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人である。
・外形標準課税の対象となるかの判定は、各事業年度終了の日の現況によって判定する。
(留意点)
・外形標準課税の対象法人の判定基準である、資本金の額は、会計上の資本金の額であり、税務上の資本金等の額ではない。
・外形標準課税の計算における単年度損益の算定においては、原則として欠損金の繰越控除は認められていない。従って、単年度損益は原則として繰越欠損金控除前の所得となる。