【税務の基礎知識(所得税)】セルフメディケーション税制
2019/03/06
【セルフメディケーション税制】
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている方が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために「特定一般用医薬品等購入費」を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。
・一定の取組とは
セルフメディケーション税制の適用要件である「一定の取組」とは、当税制の適用を受ける年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っている方が対象となります。具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。
※なお、申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされているため、申告される方が取組を行っていない場合は、控除を受けることはできません。
①保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
③予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
④勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診
・特定一般用医薬品等購入費とは
特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。
なお、セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。
・税額控除額の計算方法
セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。
・従来の医療費控除との選択適用
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であることから、従来の医療費控除との選択適用となり、いずれか一方を選択して適用を受けることになります。
したがって、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した方は従来の医療費控除の適用を受けることができません。
・セルフメディケーション税制の適用を受けるための手続き
セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、次の①及び②の書類を確定申告書に添付する必要があります。
①セルフメディケーション税制の明細書
②セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類
※上記②については、氏名・取組を行った年・取組に係る事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限ります。
(ポイント)
・健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っており、「特定一般用医薬品等購入費」の支払いがある場合にはセルフメディケーション税制の適用を受けることができる。
(留意点)
・セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した場合は従来の医療費控除の適用を受けることができない。
・セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類を確定申告書に添付する必要がある。