【税務の基礎知識(消費税)】納税義務の判定(特定新規設立法人とは)
2018/12/14
【納税義務の判定(特定新規設立法人とは)】
消費税法上、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除される消費税免税事業者となります。
従って、消費税課税事業者である法人が100%出資で子会社を設立し、その事業の一部を新設子会社に移管するような場合には、新設子会社は消費税免税事業者に該当するため(設立時資本金が1,000万円以上の法人を除く)、本来親会社で課税されていた消費税が消費税免税事業者である新設子会社に移管されることで免税となる状況が発生していました。
このような状況を鑑みて平成26年4月1日以後設立法人について、一定の要件を満たし、特定新規設立法人(以下参照)に該当する場合には消費税納税義務が免除されないことになりました。
・特定新規設立法人
特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の①、②のいずれにも該当する法人です。
①その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
②上記①の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
つまり、課税売上高が継続して5億円を超えているような法人が、50%超出資の子会社を設立する場合(設立時資本金1,000万円以上の法人を除く)には、当該子会社については親会社の基準期間の課税売上高をもとに納税義務の判定を行う必要があるため、設立1期目から消費税納税義務が免除されず、消費税課税事業者になってしまうということです。
(ポイント)
・一定規模の法人が子会社を設立する場合には、出資関係によっては子会社の設立1期目から消費税課税事業者に該当する可能性があるため、設立時の出資関係をどうするかによって将来の消費税納税額を低減できる可能性がある。